NO.77.夏の花「百合」

受胎告知
暑い毎日が続いていますが、夏の花「百合」は、日本が世界に誇れる花の1つであることをご存知ですか?
北半球に見られる花として知られる花ですが欧州等の古代絵画には「マドンナリリー(白色の百合)」として描かれています。日本では、平安の昔から淡紅色の笹百合や様々な野生の百合が夏に咲き競います。日本の百合の球根は、明治から大正時代にかけて欧米へ多く輸出されていたそうです。ユリ科の植物は、何と250属3700種もあり食用の葱類、アスパラガス、薬用のアロエ、コルチカム(イモサフラン)、チューリップ、ヒヤシンス、鈴蘭、万年青なども百合の仲間だとゆうことを知っていましたか?
和菓子の世界では、姫百合、山百合、鬼百合など灰汁のない百合根を蒸して裏漉しし砂糖を混ぜ金団や茶巾絞りに使います。
ちなみに、ユリの花言葉は“純潔”。
ユリが純潔と処女性のシンボルとして宗教的色彩を帯び始めたのは、中世頃といわれています。 白ユリは聖母マリアの純潔を象徴するものとして、「受胎告知」に描き込まれています。
結婚式で花嫁を飾る花やブーケでユリが多く使われるのは、こうした象徴の意味も含まれているのでしょう。
日本では「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」と、美人を形容する言葉として使われていますが、さて、貴女は、・・・?

レオナルドダビンチ作「受胎告知」
■ 受胎告知 (Annunciazione) 1472-1473年頃
98×217cm | 油彩・板 | ウフィツィ美術館(フィレンツェ)
レオナルド・ダ・ヴィンチ単独の制作による最も初期の作品『受胎告知』。フィレンツェ郊外のサン・パルトロメオ・ディ・モンテオリヴェート聖堂の旧蔵となる本作は、すでにレオナルドは独立はしていたものの、まだ画家の師であった彫刻家ヴェロッキオの工房で活動をおこなっていた1472-1473年頃に手がけられたと推測され、明確な記録等は残っていないが異論なく真筆であると認められている。本作の主題≪受胎告知≫は中世~ゴシック期より最も多く描かれてきた宗教主題のひとつで、神の子イエスを宿す聖なる器として父なる神より選定され、聖胎したことを告げる大天使ガブリエルと、それを静粛に受ける聖母マリアの厳粛な場面である。祝福のポーズと共にマリアへキリストの受胎を告げる、神の使者大天使ガブリエル。聖母マリアの気品に満ちた穏やかな表情や、非常に写実的に描写される百合や野草や床面、空気遠近法を用いた高度な場面・遠景表現など、画面からは20歳頃のレオナルドの豊かな才能が随所に垣間見れる。また書顕台に置かれる聖母マリアの右腕の明らかに異常な長さは、本作を右側(聖母マリア側)から閲覧することを前提としている為であるとの説も唱えられているほか、遠景の最も高い山は≪山の中の山≫として主イエスの象徴であるとの解釈もなされている。なおパリのルーヴル美術館には、かつてレオナルド・ダ・ヴィンチの作とされていたものの、現在ではレオナルドと同様ヴェロッキオの工房で学んでいたロレンツォ・ディ・クレディの作とされる『受胎告知』が所蔵されている。