NO.78.レマルクの凱旋門の中の「フーケ」?

 
パリ。なんと魅力的な言葉だろうか。
学生時代に、この街の名前を聞いて様々な思いに心をときめかしたのが懐かしい。
最初にパリを知ったのは「ジャン・ギャバンやベルモンド」が演じるモノクロのフランス映画だった。黒光りするブローニング拳銃をトレンチコートのポケットに忍ばせて石畳の道を歩く姿がとても格好良く、自分もあんな風に歩きたいと思ったものだ。
パリの決定的なイメージはレマルクの「凱旋門」からではないだろうか?
パリの細い裏通りにひっそりと身を隠す亡命者・ラビックとジョアンの絶望的なまで悲しい恋。ゲシュタポ(ナチ秘密警察)の影に怯えながらもパリの街で会う二人が、カフェで頼むのが「カルバドス」という酒。ジョアンが「喉が渇いたわ」というと、「コニャックでも飲もう」「カルバドスがいいわ」この言葉には正直かっこよさを感じ若者特有の憧れを持って飲み物やファッションにも気を使っていた時代があった。

凱旋門はシャルル・ボワイエとイングリッド・バーグマン主演で映画化され、この映画を見た観光客がパリでカルバドスを飲むのが流行したという。カルバドスというのはリンゴ酒で、一口飲むと口の中が焼けるような強い酒だ。ラビック達はこんなものを飲んでどうして渇きが癒せるのか当時は、とても理解出来なかった。
この当時のパリは、19世紀末から20世紀にかけて世界中から文学者や芸術家がこの街に集まっていた古きよき時代、1946年に発表されたエーリッヒ・レマルクの『凱旋門』の中に出てくる1901年にOpenした老舗カフェ「フーケ」はあまりにも有名である。
今から20年ほど前太陽がいっぱいで人気を博したアランドロンやジャンポールベルモントといった俳優さんが2階の奥のレストランで良く目にしたのを覚えている。
かって神戸本店の風月堂が-FOUQUET’S-をローマ字読みしたことから屋号を大阪屋から改名したらしい。当時としては、中々の先人でヨーロッパ通だったのだろう。

レマルクの「凱旋門」で”戦争が終ったらフーケで会おう”といったせりふは有名で、赤い日除けに金色の文字が石造りの建物の中でひときわ目立つシャンゼリゼの名所は、フーケ2階のレストラン。窓側からのシャンゼリゼ、凱旋門のイルミネーションは素晴しくクリスマスの時期はお勧め。フランス料理とパリの雰囲気を十分に味わえる絶好の場所である。
Calvados
ノルマンディー地方で作られるアップルブランデー。華やかな林檎の香りがあって、おいしい。特に瓶の中に林檎の実を閉じ込めてあとからカルバドスで満たしたものは微かな甘味があって熟成されたカルバドスの香りと生の林檎の香りが響きあって絶妙です。ノルマンディー地方の名産品のひとつで、りんごの発泡酒シードルを蒸留したもの。りんごを原料としたブランデーのことです。このカルバドスの最良の地として知られるシャトー・ブルイユは、数十種類のりんごを使って生産され、由緒あるシャトー内で昔ながらの製法が守られています。その味は、クリーミーで柔らかく、程よいりんごの甘さがあり、お酒に弱い女性にも飲みやすいブランデーとして人気があります。
行き方:凱旋門からシャンゼリゼ通りを歩いていくと右側(メトロ1号線 GEORGE Vを上がったところ)にあり判りやすい。
福岡にも「風月」がある。さしずめ天神のどこか四つ角に「赤い日除けに金色のひときわ目立つしゃれた店舗があれば福岡の名所になると思うのだが・・・。