NO55. 魅惑のウイーン｢世紀末芸術｢クリムトの世界」

１６世紀半ば、ボヘミア王フェルナンディナント１世は、ボヘミヤ王家のアンナと結婚し愛する妻のために夏の離宮を建てた。この宮殿こそベルヴェデーレ宮殿でありこの中に混迷と苦悩，享楽が渦巻く中で新たな時代と自由を求めた世紀末の画家｢クリムト｣の作品がある。
グスタフクリムト Gustav klimut 1862-1918
ウイーン世紀末芸術を代表する画家。
彫金師の家に生まれ若くしてブルク劇場や美術史博物館の装飾や肖像を手がけ名声を
得る。１８９７年分離派を設立。女性とエロス、生と死を軸に甘味で退廃的な作品を
発表しセンセーションを巻き起こし、シーレやココシュカなど若手の才能も見出した。
義妹エミーリエフレーゲ以外にも恋愛遍歴も多彩だが生涯独身。

中でも｢接吻｣は彼の最盛期に描かれた傑作。
当時の西洋絵画では、キリスト教の道徳観から男女の性愛が肯定的に描かれる事はなく
その風潮に真っ向から挑んだ話題作。
１８７３年ウイーン万博で広く知られた日本美術の影響が見られ江戸時代の屏風絵と共通点が多く男女の愛の行為は宗教的秘儀を思わせる雰囲気に包まれ絵の官能性が判る。
良く見てみると２人を取り巻く金色のフォルムは、２人の愛を成就を示唆している。
モデルは、クリムトと不倫関係にあった銀行頭取の娘アデーレブロッホ。
一方の男性はクリムトと言われているが、彼は「絵の対象としての自分に興味がない｣と自画像を残さなかっただけに官能的に見えるのかもしれない。
美術館内でで写真をとることが出来ないのでクリムトの他の作品で我慢して欲しい。