No.235..Tommy's絵画美術館 今月12月の作品「マリー=ガブリエル・カペ」の肖像画

マリー=ガブリエル・カペの肖像画
Marie-Gabrielle Capet(1761ー1818)
自画像 1783年頃 油彩/カンヴァス77.5 x 59.5 cm

写真:マリー=ガブリエル・カペ 自画像)
  
国立博物館に収蔵されているマリー・ガブリエル・カペ(1761年~1818年)
22歳の時に描いた「自画像」を見て感激!自信に満ちた彼女の人生が
伝わってくるような名画です。
カペの経歴は、ギアールとその夫の画家、フランソワ=アンドレ・ヴァンサンの
助手を続け、1803年のラビーユ・ギアールの死去、さらに1816年のアンドレ・
ヴァンサン ( 1746-1816 ) の死去にいたるまで(19歳から1816年の55歳に 至るまで)
実に36年間も、アトリエのために働き続け、師に忠誠を 尽くした生涯でした。
18世紀のフランスは、女性たちが社会のさまざまな場所で活躍をし始めた いわば女性の
時代でした。美術においてもそれは例外ではなく、 18世紀の末にはエリザベート・
ヴィジェ=ルブラン、アデライード・ ラビーユ=ギアールという二人の傑出した女性画家が
初めて王立絵画・ 彫刻アカデミーの会員となったのを皮切りに、女性芸術家が相次いで
社会に進出した時代でした。 リヨン出身で、パリでラビーユ=ギアールのアトリエで
学んだカペは、 こうした当時の新進女性作家のひとりで、フランス大革命直後の1791年
サロンでは、そこに出品した21人の女性画家に名を連ねています。 ホルダーに はさんだ
デッサン用のチョークを片手に 画架の前に 立つこの自画像には、22歳の若い作者の
初々しい 面影が見事に捉えられていて 胸元の大胆に開いた青いサテンのドレスは 
当時の流行の衣装で、共地の青いリボンと相まって18世紀の華やぎを 伝えています。
同時に、時代は、フランス大革命の嵐が目前に迫り 台頭する新しい市民階層に
応しいレアリズムへの志向が高まっていました。
カペの現在確認されている作品数は少なく、パステル画やミニアチュールは、
フランスやアメリカの公共美術館にありますが、多くは個人コレクションに
収まっています。
油彩は更に少なく、国立西洋美術館・ノイエ・ ピナコテークの他は 
ディジョンの美術館に女性肖像画が見られる程度で 1818年にパリの
ラベイ通りで死去しています。
これほどの美人が、何故ずっと独身だったのか これは、歴史上のミステリーです。