No234.Tommy's絵画美術館今月(9月)の作品 総合芸術の天才「ラファエロの小椅子の聖母」
総合芸術の天才「ラファエロの小椅子の聖母」
「
小椅子の聖母」( Madonna della Seggiola )は、
ルネッサンス盛期にフイレンツェに於いて画家「ラファイエロ・サンティ」が、
1513年から1514年頃に描いた作品で聖母子絵画作品の中でも人気が高い
円形画(トンド)である。
直径71cmの円の中に聖母マリアが幼子キリストと少年の姿をした聖ヨハネが
描かれている。
聖母マリアはうら若き母親の顔で、やさしくキリストを抱きしめ
キリストは赤ん坊特有の柔らかそうな体つきで描かれ、一点を見つめている。
少年の姿をした聖ヨハネの瞳は、少し寂しげに見える。この1枚の絵には、
伝説が伝えられている。
ローマの路地を歩いていたラファエロが、仲睦まじい母親と二人の子供を見かけ、
思わず側に あったワイン樽の蓋に即興で絵を描いた。
それが「小椅子の聖母」の元になったという話。
当時のフィレンツェは、メディチ家の庇護のもと、ラファエロも若き才能を発揮する。
当時の四角い画面以外の構図について研究を重ね、トンドで描かれた作品を作製。
ラファエロが丸い画面に描いた聖母マリアのポーズは、曲線と直線の巧妙な
バランスにより、マリアの存在感を際立たせている。
亦、色使いでも従来の聖母マリアの衣を青いマントに赤いドレスで描き、
さらに緑色と黄色を加えて4色を巧みに使用することで、暖かい印象を
与え「小椅子の聖母マリア」の視線は観る者を惹きつけ感動を覚えさせる作品に
仕上がっているおすすめの1枚である。