232.Tommy's絵画美術館10月.「真珠の耳飾の少女(青いターバンの少女)」

真珠の耳飾の少女(青いターバンの少女)
ヨハネス・フェルメール(Johannes Vermeer
17世紀にオランダで活躍した画家。本名ヤン・ファン・デル・メール・ファン・デルフト
(Jan van der Meer van Delft) ヤン・フェルメールとも呼ばれる。
レンブラントと並び17世紀のオランダ美術を代表する画家とされる。生涯のほとんどを
故郷デルフトで過ごした。最も初期の作品の一つ『マリアとマルタの家のキリスト』
(1654年-55年頃)に見られるように、彼は初め物語画家として出発したが、
やがて1656年の年記のある『取り持ち女』の頃から風俗画家へと転向していく。
静謐で写実的な迫真性のある画面は、綿密な空間構成と巧みな光と質感の表現に
支えられている。
現存する作品点数は、研究者によって異同はあるものの33~36点と 少ない。
このほか記録にのみ残っている作品が少なくとも10点はある。 現
存作品はすべて油彩画で、版画、下絵、素描などは残っていない。


『真珠の耳飾りの少女』(1665年頃) 技法:カンヴァス
油彩 サイズ:44.5×39cm   所蔵:マウリッツハイス美術館
来歴・デン・ハーグのコレクター、デス・トンブ旧蔵。
1902年マウリッツハイス美術館贈
少女の謎めいた雰囲気から「北方のモナリザ」とも呼ばれ、 フェルメールの
最も有名な作品の一つである。他の多くのフェルメール 作品と異なり、
この作品には物語性や教訓性はなく、無地の暗い背景に 少女の上半身だけ
が描写されている。修復時の調査により、下塗りには 場所によって黄土、
赤、クリーム色などさまざまな色を使い分け、 微妙な階調を出していることが
わかった。少女の衣服の襟の白色が イヤリングに反映しているところも的確に
描写されている。 修復の結果、唇の両端に白の点を置き、唇の濡れている感じを
表して いることもわかった。この作品は、トレイシー・シュヴァリエが2000年に
発表した小説『真珠の耳飾りの少女』およびそれを原作とした映画に よって
一段と有名になった。小説ではフェルメール家の女中がモデルとされ、
画家と女中の間に淡い恋物語が展開するが、無論これはフィクションで、
実際のモデルは誰だったのかは不明である。 傑作『真珠の耳飾りの少女』。
別名、青いターバンの娘とも呼ばれる この作品は、黒色で統一される
背景に鮮明に浮かび上がる少女の 瞬間的な表情は、見る者に極めて
強烈な印象を与えている。 これはレオナルド・ダ・ヴィンチやラファエロも
使用した、登場人物 (本作では少女)の描写以外の絵画的構成要素を
極力無くした暗中の 背景とによって対象を一層際立たせる表現手法と、
鮮明な光彩描写や ターバンや衣服に用いられた黄色と青色による
鮮やかな色彩の コントラスト、少女の振り向きざまの一瞬を捉えたかの
ような構図 などとの相乗的効果によるところが大きい。 
また1882年のオークションで わずか2.5ギルダー(1ポンド以下)で
売却された来歴を持つ作品は、 最も大きな謎のひとつである、
なお1668-69年頃に手がけられたと 推測される本作と同様、
人物の頭部を描いた作品『少女の頭部』が メトロポリタン美術館に
所蔵されている。