NO.123.ベルギーに行く前に見るお勧め映画「 A dog of Flanders 」!

イギリスから帰国して時差ぼけでボーとしながら休日の午後、テレビの画面を見ていると懐かしい
「フランダースの犬」が 始まった。

原題 は、 A dog of Flanders で始まり 1998年のアメリカ映画でキャストはあの
「大いなる遺産」でも好演するジェレミー・ジェームズ・キスナーがNello役を演じている。 
ストーリーは、皆さんご存知のように、ネロは、おじいさん(ジャック・ウォーデン)と二人で
牛乳配達をしながら貧しく暮していた。画家を目指していた亡き母親の血を受け、絵を描くのが
好きなネロの夢は地元出身のルーベンスの絵を一目見ることだった。
ある日、ネロは傷だらけになって捨てられた犬を見つける。彼はパトラッシュと名づけ、飼う
ことにした。兄弟のように仲良しのネロとパトラッシュは、おじいさんが仕事に出られなく
なってから二人で配達に行くようになる。また、町で知り合った画家ミシェル(ジョン・ヴォイト)に
才能を見出され、少年絵画コンクールに出品するよう勧められる。一方ネロは幼なじみアロア
(ファレン・モネット)とも仲良しだが、小麦粉の取引で財をなした彼女の父親は二人の仲をよし
としない。
そんな中、アロアの家の納屋が火事になり、ネロに放火の濡れ衣が着せられてしまう。
その上おじいさんも亡くなり、家賃が払えず住む家も追われる。ネロに残された一縷の望みは
絵画コンクールで優勝することだけだったが、それすら有力者の息子に奪われてしまう。
失意に打ちひしがれ、雪の中を歩いていると、アロアの父親が落とした財布を拾う。
アロアの家に届け、家族から感謝されるネロ。だが彼はクリスマスのもてなしを断り、吹雪の中
ルーベンスの絵のある教会へ。

憧れの画家の絵を前に、ネロはパトラッシュとともに絵の中の天使に迎えられる物語だが
この物語の町「アントワープ」はベルギー第2の都市そして「ルーベンスの生まれ故郷」でもある。
今でも彼の豪華なアトリエは、ルーベンス通りに残っている。対照的に童話「フランダースの犬」は、
英国の女流作家「ウィーダ」が1872年に出版した作品で忠犬パトラッシュと少年ネロの深い
友情を描いて世界中の感動をそそる悲しい物語だ。
ベルギーでは、この童話はずーっと忘れられていたが日本の観光客が「フランダースの犬」の後を
訪ねる為、慌てふためいて少年と犬の像をその地に作ったらしいが、この物語の舞台は
アントワープ西方のホボケン村。(現在は市に編入されている)
市内の教会堂側からホボケン地区まで市電が走っている通りはネロが犬と共に毎日ミルク車を
押して通った道。さらに市電の終点近くの聖母教会は,ネロと忠犬パトラッシュが埋葬されている。
この映画を見ていると、舞台はブルージュで撮影されていることが良くわかる。
ブルージュは、今でこそ街中が観光客で溢れているが、町を取り囲むように流れる運河、
フランドル地方のどんよりとした空の色、時が止まったかのような神秘的な中世の街は、
クノップフの世界」を思わせる。


この映画の見どころのもう一つは、「背後の風景と当時の衣装」がさらに映画を引き立たせている。
当時の生活、文化や歴史が良く見て取れ商業都市ベルギー人の気質・人間性を表した映画で
もある。
ベネルックス方面にご旅行計画を思い立っている方には、是非この映画の鑑賞をお薦めしたい。